2013/07/17

速報!RME を Logic Pro X で使ってみました

昨日(2013年7月16日)いきなり発表されて話題となっている Logic Pro X ですが、ちゃっかりその話題に乗っかろうと思い立ちまして、早速 RME のオーディオ・インターフェイスで動作チェックしてみましたので、速報にてお届けいたします。
新機能やソフトウェア的な内容は他のレビューサイトで取り上げられるかと思いますのでそちらにお任せするとして、ここでは実際に Fireface UCX を接続してざっと使ってみた所感をお伝えしたいと思います。
※今回のレポートはあくまで弊社環境での実験結果であり、弊社およびRMEがすべての環境での動作を保証するものではありません。予めご留意ください。
デバイスの認識はあっさりと完了しました。先に Fireface UCX を接続しておいてから Logic Pro X を起動すると、下記のようなダイアログが表示されますので「使用」をクリックするとデバイスの指定が完了します。もし後で設定する場合は、Logic Pro X > 環境設定 > オーディオ にて指定できます。
環境設定の画面では、デバイスに関するその他の項目も設定できます。I/Oバッファサイズはデフォルトでは128なのですが、Logicは32まで詰められますので、それで試してみることにします。
44.1kHzの場合、ラウンドトリップのレイテンシーは3.5ミリ秒となりました。ちなみに、これは Fireface UCX を USB 接続した時の値です。
ちなみに、FireWire で接続した場合は4.4ミリ秒でした。Mac ではやはり USB 接続の方が速いようです。
なお、内蔵の入出力デバイスを指定するとレイテンシーはさらに短くなるようです。システムのバスに直接アクセスしているからなのでしょうね。
ここではせっかく(?)なので、192kHzに設定してみました。当然ながらレイテンシーはさらに詰まって2.0ミリ秒となっています。ここまで来ると、ソフトウェアの再生をモニタリングしながらの重ね録りもストレスなく行えるはずですが、果たしてシステムの方がついてこれるのか、興味津々。。。
早速 192kHz/24bit のマルチトラックのプロジェクトを作成してみました。いろいろカラーリングは変更可能のようですが、デフォルトだとダークで大人しめのテイストですね。これはこれで見やすくて好感が持てます。
ところで、CPU負荷の状況をモニタリングするためにメーターを出したかったのですが、表示するのになかなか手こずりましたので、情報を共有しておきたいと思います。画面上部にあるLCD表示部分を右クリックすると「コントロールバーとディスプレイをカスタマイズ...」というメニューがでてきますので、そちらを選択します。
下図の様な設定画面がでてきますので「LCD」欄で「カスタム」を選択して、「負荷メーター(CPU/HD)」を選択します。
今回使用した Mac は、MacBook Pro 13inch(mid 2012, 2.9GHz Intel Core i7 8GB RAM)だったのですが、192kHz/24bitで16トラックのオーディオを再生した際の平均的な負荷は下図のような感じです。数値が表示されないので何とも判断しづらいのですが。。。
ちなみに、同じ仕様のデータを Studio One 2.5 で再生したところ下図のような感じになりました。やはり Studio One は全体的に動作が軽いですね。バッファサイズは 64 サンプルまでしか選べないためそうしていますが、双方でバッファを増やしてもあまり違いはありませんでした。
Logic Pro X では、再生中に Finder に戻って別の作業などを行うと何度かエラーで再生が止まってしまいました。192kHzでしかも内蔵HDDからの再生だというのもあるかも知れませんが、やはり録音・再生中は他の操作は極力避けた方が良さそうです。
一方で、既存のトラックをソフトウェアでモニタリングしながらの重ね撮りは非常に快適に動作しました。エフェクトなどを多用する場合はもう少しCPUスペックがあった方がいいかもしれませんが。
ということで、Logic Pro X での動作検証を速報にてお届けいたしました。いくつか注意点がありますが、一通り快適に安定の RME クォリティで使用できましたので、アップグレードされた方は是非 RME のオーディオ・インターフェイスをお試しください。

2013/07/05

Windowsのミュージック・プレイヤー「MusicBee」をRMEインターフェイスで試してみました


MusicBee
ここしばらく、日本語で使えて、 iTunesのように使い易く、今使用している音楽ライブラリーをそのままインポートできて、CD読み込み精度やライブラリー管理、タグ編集機能も優秀で、非圧縮もFLACもApple Losslessも聴けて、RMEインターフェイスをASIOドライバーで使えるWindows用の音楽プレイヤーはないかと探していたのですが、なにやら「MusicBee」というソフトウェアが話題になっているようで。早速RMEのインターフェイスで試してみましたのでご紹介します(2013年7月現在:MusicBee ver. 2.1.4924)。



MusicBeeのメイン・プレイヤー画面

デフォルト・レイアウト+Sky Blueスキン

MusicBeeのメイン・プレイヤーはとてもシンプルで、設定画面もメニューもすべて日本語で使えます。デフォルト画面は以下の要素で構成されています。
  • 左:音楽ライブラリー、ポッドキャスト、ラジオ、プレイリスト等を選択する「ナビゲーター・パネル」
  • 右:再生中のトラック情報を表示する「再生中パネル」
  • 上:ジャンル別、アーティスト別、アルバム別にツリー構造でブラウズ/検索する「トラック・ブラウザー」
  • 中央:検索結果を表示する「メイン・パネル」
  • 下:再生/停止/ボリュームを制御する「プレイヤー・コントロール・パネル」
メイン・プレイヤーは自由にカスタマイズできます。また、ミニ・モード、コンパクト・モード、シアター・モードの3つのモードがあり、状況によって表示方法を替えられます。
iTunesスタイル+Darkスキンにカスタマイズ

ミニ・モード表示

コンパクト・モード表示

シアター・モード表示

音楽ファイルの取り込み、ライブラリー管理

「iTunesからインポート」メニュー
画面はシンプルですが、CDやファイルの取り込み、タグ編集、自動タグやアルバム・アートの取得、ファイル整理等、大きな音楽ライブラリーを管理するための様々な機能が充実しています。既にあるiTunesやWindows Media Playerの音楽ライブラリーからも簡単にインポートできました。再生に関しても、非圧縮ファイル、MP3、FLAC、AAC*をはじめ、一般的に普及しているほとんどの音楽ファイルのフォーマットに対応しているようです。

*AAC/MPEGのデコード(再生)には、別途プラグインが必要です。詳細は本ブログの最後の「関連情報」をご覧ください。

ライブラリ管理

ファイルのスキャン/追加画面
ハードディスクの各所に保存されている音楽ファイルやフォルダ、ドライブをすべてスキャンして、MusicBeeのライブラリーに取り込めます。その際は、ファイル自体は元の場所から移動せずに、ファイルのタグ情報だけがライブラリーに収集されます。尚、「ファイルの整理」機能を使って元ファイルの保存場所やディレクトリー階層をアーティスト別、アルバム別に一カ所に移動して整理することもできます。他にも「重複したファイルの整理」等、ライブラリー管理に便利なオプションが揃っていました。

インボックスとタグ・ツール

インボックスと自動タグ・ツール
MusicBeeに読込まれたトラックは一旦「インボックス」と呼ばれる一時保管フォルダーに格納され、音楽ライブラリーに追加する一歩手前でタグ情報を編集できます。アーティスト名やトラック名が間違っている場合などに、インボックス内で正しくタグ付けしてから、音楽ライブラリーに追加できるので、ライブラリーをクリーンに保てます。

タグ・ツールは、手動で入力する「編集ツール」と「自動タグ・ツール」があります。自動タグ・ツールでは、アーティスト、アルバム、トラック、アートワーク、歌詞等を、MusicBeeが利用するオンライン・データベース(MusicBrainz、FreeDB、Discogs、beatport、last.fm、amazon、Doscogs、google.com、LYRDB、cartLyrics.com、LyricsDB等)から自動で入手できます*。正しいタグがヒットした場合は、そのまま適用してインボックスから音楽ライブラリーに追加できます。取得したタグと現在のタグが違う場合に色分けされるので、タグ付け作業がスムーズに行えました。

*タグの自動取得については洋楽は高い確率でヒットしました。また、邦楽に関してもヒットしましたが、上記の無料データベースに邦楽情報が不足している場合もあるかもしれません(エンド・ユーザーが自発的にデータベースに登録するサービスのため)。CDを取り込む際などに思い通りにタグがヒットしない場合は、邦楽情報がより豊富とされるGracenoteのデータベースが使用できるiTunesなどで一旦CDを取り込んでみるのも1つの方法かもしれません。

CDの読み込み

CDの読み込みも幅広いフォーマット*に対応し、取り込むオプションも豊富です。

  • 「クイック取り込み」:使用するCDドライブの状態が良い場合に利用するオプション。一番速く取り込めます。
  • 「AccurateRip.comを使用して取り込みを検証」:オンライン・データベースとデータの整合性を取りながら取り込む方法。
  • 「セキュアな取り込み(エラー回復する)」読込んだデータとCDのデータとを比較しながら取り込む方法。
  • 「C2エラーをチェックする」:CDドライブからレポートされるC2エラーを検知して、エラーがある場合はリトライしながら読込む方法。

※MP3、AAC/MPEGのエンコードを行うには別途プラグインをダウンロードする必要があります。詳細は本ブログの最後の「関連情報」をご覧ください。


MusicBeeの便利な機能

オートDJ

オートDJ設定画面
左パネルのプレイリスト内に「オートDJ」機能があり、ランダムに曲を聴きたい時や、パーティー、仕事中のバックグラウンド・ミュージックが欲しい時などに、設定した条件でプレイリストを自動作成して再生してくれます。同じアーティストが並ばないように設定したり、同じアーティストを好んで選んだりと、様々な設定が行えます。また、DJリストに曲が無くならないように「保持曲数」が設定でき、設定した数だけ常に曲をランダムに追加し続けます。

ビジュアライザ

表示されたアーティスト画像
再生中のアーティスト画像をflickr.com、Last.fm、htbackdrops.com等から自動検索してプレイヤー上にランダムに表示させることができます。検索結果によっては関係のない画像が表示されてしまうこともありましたが、思いがけず自分が好きなアーティストの見たことのない写真が表示されてとても楽しめました。


ポッドキャスト、オーディオブック、インターネット・ラジオ

インターネット・ラジオ
左のナビゲーション・パネルから、ポッドキャストやオーディオブック、インターネット・ラジオが利用できます。インターネット・ラジオにはデフォルトでIcecast、Shoutcast、Soma FM、last.fm、Jamendo等が登録されていて、後からラジオ局のURLを追加して聴くこともできます。


インターネット・サービス

Tokyoのコンサート情報
左パネルの「インターネット」項目から、アーティストのアルバム・リリース予定やコンサートの予定を確認できます。情報元はmusicbrainz.orgとsongkick.comです。表示情報は英語ですが、Tokyoの予定もきちんと表示されました。


last.fm    

Last.fm
オンライン音楽サービスのlast.fmに登録すれば、MusicBeeと連携して再生トラックをscrobbleできます。








以上「MusicBee」の主な機能を駆け足で紹介させていただきました。Windowsのメイン・ミュージック・プレイヤーとしても十分に活躍できそうな楽しみなプレイヤーですね!

最後に今回MusicBeeをFireface UCXで使用した際の設定例をご紹介します。MusicBeeはASIO対応なので、RMEインターフェイスの安定性の高いASIOドライバーを、プラグイン等を使わずにそのまま使用できました。他のRMEインターフェイスでも参考にしていただけますので、是非ご覧ください。


MusicBeeをRMEインターフェイスで使用する

設定を正しく行えば、それぞれ44.1 kHz 〜 192 kHzの異なるサンプル・レートのWave、mp3、FLAC、Apple Lossless等のあらゆる音楽ファイル・フォーマットを快適に再生できました。以下は今回使用した際の設定例です:

  1. RMEインターフェイスをコンピューターに接続します。
  2. MusicBee > 編集 > [設定]画面を開きます。
  3. 左側の[プレイヤー]の項目をクリックします。
  4. 右側の[出力]の項目で[ASIO]を選択します。
  5. [サウンドデバイス]の項目でお使いのRMEインターフェイスの[ASIOドライバー]を選択します。
  6. [ハードウェアミキシングを使用]にチェックを入れます。
    ※オーディオ・インターフェイス内で音声をミキシングしてCPU負荷を減らしてくれる機能です(詳細はMusicBeeのオンライン・ヘルプをご参照ください)。 
  7. [32ビット出力を使用する]にチェックを入れます。
  8. [リサンプルする]にチェックを入れ、お好みの[サンプル・レート]を選択します。
    ※この設定により、すべての再生が指定されたサンプル・レートにMusicBee内でリサンプルされます。音楽ライブラリーに44.1 kHz、48 kHz、96 kHz、192 kHz等様々なフォーマットが混在する場合は上記の様に[リサンプルする]に設定にすると、問題なくスムーズに再生することができました。また、コンピューターの性能によっては、高いサンプル・レートに設定すると音が途切れる場合がありました。その場合は「バッファサイズを増やす」にチェックを入れて、より低いサンプル・レートを選択すると問題なく再生されました。
  9. [保存]をクリックします。
  10. MusicBeeを終了して、再び起動します。
    ※ 弊社の環境では、上記設定を変更した際は、MusicBeeを再起動しないと再生できませんでした。


関連情報


MusicBeeウェブサイト

http://getmusicbee.com/

MP3、AAC/MPEG4プラグインの追加情報

以下のプラグインの追加情報はMusicBeeオンライン・ヘルプより抜粋したものです。詳細なプラグインのインストール手順等についてはMusicBeeのオンライン・ヘルプやMusicBeeのフォーラム等をご確認ください。


AAC/MPEG4のデコード(再生)を行うには: 

(MusicBeeオンライン・ヘルプより抜粋)
ライセンスの制限によりMusicBeeはAACデコーダーを配布できません。AACのアドオンは個人的利用に限って以下よりダウンロード可能です。
 http://www.getmusicbee.com/help/codec/ 
  • bass_aac.zipをダウンロード 
  • ファイルを解凍し、bass_acc.dllをMusicBeeがインストールされているフォルダーにコピー(フォルダー例:/ Program Files / MusicBee /) 
  •  MusicBeeを再起動


MP3のエンコードを行うには:  
  • LAMEを以下のウェブサイトからダウンロード: 
  • www.rarewares.org/mp3-lame-bundle.php 
  • MusicBeeがインストールされているフォルダー内の[Codec]サブフォルダーにlame.exeをコピー(フォルダー例:\Program Files\MusicBee\Codec\) 
  • MusicBeeを起動して、編集メニュー > [設定]画面で[ファイルコンバータ]を選択し、[MP3有効]にチェックを入れる


 AAC/MPEGのエンコードを行うには: 
  • Nero AACを以下のウェブサイトからダウンロード
    www.nero.com/eng/downloads-nerodigital-nero-aac-codec.php 
  • MusicBeeがインストールされているフォルダー内の[Codec]サブフォルダーにneroaac.exeをコピー(フォルダー例:\Program Files\MusicBee\Codec\) 
  • MusicBeeを起動して、編集メニュー > [設定]画面で[ファイルコンバータ]を選択し、[AAC 有効]にチェックを入れる