RME導入事例でおなじみ「サラウンドの匠」沢口真生氏(沢口音楽工房代表、UNAMAS-JAZZ Producer/Engineer)の新作「そよぎ」が、高音質音楽配信サイト「HQM STORE」よりリリースされました。
前作の「Everything for drums」は、全編ドラム・ソロ演奏をハイレゾ・サラウンドで収録し、「リスナーがドラマー」の臨場感を体験できるユニークな作品として仕上がり、音響的な見地からも優れた作品として話題を集めた事はご記憶に新しいでしょう。
新作「そよぎ」で沢口氏が臨んだ楽器はリードオルガンです。日本でオルガンと言えば小学校の教室に置かれていた「足踏みオルガン」を思い出す方も大勢いらっしゃるかと思いますが、リードオルガンとはまさにあの足踏みオルガンの事です。本作にはリードオルガンの演奏による「茶摘み」や「さくらさくら」等の唱歌や「七つの子」など、誰もが慣れ親しんだ日本の歌(演奏)が収録されています。
本作を聴いて驚くのはリードオルガンのとても表情豊かな音色です。本作でリードオルガンを演奏された上畑正和氏(作曲家・ピアニスト・リードオルガニスト)は「足踏みオルガンの本当の魅力は、音が消える瞬間と鳴る瞬間にあると考えます。その音を耳を澄ませて聴いていただくの一番気持ちいいのです。」と語っています。素朴な響きの中で儚くも消えては再び浮かび上がるリードオルガンの音色は、聴く者に情景を思い浮かべさせます。音楽の授業で、先生が演奏するリードオルガンの伴奏にあわせて皆と一緒に歌った唱歌を自然と思い出せるのは、リードオルガンの音色が記憶と共に心に刻み込まれているからでは、と思いました。本作を聴きながら強い郷愁にかられ、何とも言えない温かくて心地よいものを感じました。楽曲によっては完成した音楽に沢口氏がサラウンド・スケープを施しており、さらには山崎阿弥氏(声のアーティスト)によるわらべ唄と声で、楽曲にさらなるストーリー性を与えています。
もちろん、本作も録音から配信まで24 bit / 192 kHzのサラウンドで行われており、HQM STOREからサラウンド・フォーマットとステレオ・ミックスのそれぞれが購入可能です。RMEのオーディオ・インターフェイスをお持ちでしたら、ぜひともオリジナルのサラウンド(クアドロ・フォニック/4ch)でお楽しみ頂くことをオススメします。今日はBabyfaceを使ったクアドロ・フォニックの再生方法をご紹介します。
Babyfaceのヘッドフォン出力はステレオ・ライン出力としても使用可能なので、写真のような分配機かケーブルを用意して、メイン出力1/2(フロントLR)ヘッドフォン出力3/4(リアLR)として使用します。私はMacBook Proを使っているので、Max OS Xを例に設定方法をご紹介します。Windowsの設定方法は参照リンクを後述します。なお、サラウンド = マルチ・チャンネルを楽しむにはマルチ・チャンネル再生に対応したプレイヤー・ソフトウェアが必要です。Macの場合は無償で使えるVLCが便利です。
【Mac OS X 設定】
1 : AudioMidi設定(アプリケーション > ユーティリティー)を起動
2 : Babyfaceを選択 > 出力のタブを選択 > 画面右下の「スピーカーを構成...」をクリック
3 : 画面上部のチェックボックス「Analog 1 - 4には...」にチェックを入れる
4 : 「マルチチャンネル」を選択 > プルダウンメニューから「4チャンネル」を選択
5 : スピーカーの割当を上段左Analog 1、上段右Analog 2、下段左Phones 3、下段右Phone 4に設定
6 : 「適用」 > 「完了」の順番でクリックをして、AudioMidi設定を終了
以上の設定でMac OS X内でマルチ・チャンネルの再生が可能になり、Babyfaceのブレイク・アウト・ケーブルのメイン出力1/2 = フロントのL/R、Babyfaceのフォーン出力3/4がリアのL/Rに割当たりました。続いてTotalMix FXの設定を行います。
【TotalMix FX 設定】
1 : TotalMix FXを起動
2 : 画面右側View Optionsの「Submix」にチェックを入れる(画像1)
3 : 画面右下Control Roomの「Assign」をクリックして、Main Outに「PH 3/4」を選択(画像2,3)
4 : 下段(三段目)のAN 1/2をクリック(選択されるとハイライト表示)し、フェーダーを適当な位置まで上げる。続いて中段(二段目)のAN 1/2のフェーダーを0 dBの位置まで上げる。(画像4)
5 : 下段(三段目)のPH 3/4をクリック(選択されるとハイライト表示)し、フェーダーを適当な位置まで上げる。続いて中段(二段目)のPH 3/4のフェーダーを0 dBの位置まで上げる。(画像5)
以上でチャンネルのルーティングが完了しました。音楽を聴きながら下段のAN 1/2とPH 3/4のフェーダーを使って、好みのボリュームに調整してください。(メイン出力をXLRのバランスで出力した場合、アンバランス仕様のヘッドフォン出力とは2 dBの音量差が生じます。フロント/リアのボリュームを厳密にあわせる場合はメイン出力1/2のボリューム・フェーダーを「-2.0 dB」に設定して下さい。)
このように、Babyfaceでもサラウンドを楽しむことができます。サラウンドを楽しめる環境をお持ちのかたは、ぜひお試し下さい。
Windowsで試される方は、こちらのリンク先にある「コンピュータのスピーカー構成をサラウンドに設定 - Windowsの場合」をご覧頂き、Windowsの設定を行って下さい。TotalMix FXの設定はMac OS XもWindowsも同様なので、Windowsの設定が済んだ後は本ブログの設定をご参照下さい。
1 : AudioMidi設定(アプリケーション > ユーティリティー)を起動
2 : Babyfaceを選択 > 出力のタブを選択 > 画面右下の「スピーカーを構成...」をクリック
3 : 画面上部のチェックボックス「Analog 1 - 4には...」にチェックを入れる
4 : 「マルチチャンネル」を選択 > プルダウンメニューから「4チャンネル」を選択
5 : スピーカーの割当を上段左Analog 1、上段右Analog 2、下段左Phones 3、下段右Phone 4に設定
6 : 「適用」 > 「完了」の順番でクリックをして、AudioMidi設定を終了
以上の設定でMac OS X内でマルチ・チャンネルの再生が可能になり、Babyfaceのブレイク・アウト・ケーブルのメイン出力1/2 = フロントのL/R、Babyfaceのフォーン出力3/4がリアのL/Rに割当たりました。続いてTotalMix FXの設定を行います。
【TotalMix FX 設定】
1 : TotalMix FXを起動
2 : 画面右側View Optionsの「Submix」にチェックを入れる(画像1)
3 : 画面右下Control Roomの「Assign」をクリックして、Main Outに「PH 3/4」を選択(画像2,3)
4 : 下段(三段目)のAN 1/2をクリック(選択されるとハイライト表示)し、フェーダーを適当な位置まで上げる。続いて中段(二段目)のAN 1/2のフェーダーを0 dBの位置まで上げる。(画像4)
5 : 下段(三段目)のPH 3/4をクリック(選択されるとハイライト表示)し、フェーダーを適当な位置まで上げる。続いて中段(二段目)のPH 3/4のフェーダーを0 dBの位置まで上げる。(画像5)
以上でチャンネルのルーティングが完了しました。音楽を聴きながら下段のAN 1/2とPH 3/4のフェーダーを使って、好みのボリュームに調整してください。(メイン出力をXLRのバランスで出力した場合、アンバランス仕様のヘッドフォン出力とは2 dBの音量差が生じます。フロント/リアのボリュームを厳密にあわせる場合はメイン出力1/2のボリューム・フェーダーを「-2.0 dB」に設定して下さい。)
このように、Babyfaceでもサラウンドを楽しむことができます。サラウンドを楽しめる環境をお持ちのかたは、ぜひお試し下さい。
Windowsで試される方は、こちらのリンク先にある「コンピュータのスピーカー構成をサラウンドに設定 - Windowsの場合」をご覧頂き、Windowsの設定を行って下さい。TotalMix FXの設定はMac OS XもWindowsも同様なので、Windowsの設定が済んだ後は本ブログの設定をご参照下さい。
本作のブックレットに寄稿された、日本リードオルガン協会顧問の赤井励氏のテキストによると、残念ながらリードオルガンの国内製造は中止になっており、現在は博物館等でしか見れない貴重な楽器になってしまったそうです。
夜気も柔らかくなり気持ちがはなやむ春の夜に、耳を澄ませて素朴だけど心が豊かになるリードオルガンの響きに浸ってみてはいかがでしょうか。
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