CCモード検証レポート第2弾!ということで、話題の本格DAW iPadアプリAuriaを試してみました。
Auriaは、最高96kHzまでのサンプリングレートをサポートし、最大ステレオで48トラックまでの同時再生も可能な、かなり本格的なiPadアプリです。(初代iPadをお使いの場合、最高48kHz、最大24トラックまで)さらに、ミックスエンジンは、64bit浮動小数点処理!と、昨今のプロが使うDAWソフトと比べても遜色の無い品質を有しています。また、マルチバンドEQやコンプ、マスタリング・リミッターもデフォルトで搭載しており、プラグインを別途アプリ内で買い足すことも可能です。
さらにさらに、Auriaは、Pro ToolsやLogic、Nuendo、SamplitudeといったDAWソフトから書き出したAAFファイルのセッションを読み込むことも可能なのです。これはつまり、皆さんが通常使用しているDAWソフトと連携してセッションをやりとりすることが可能だということなんです。
ノートブックPCをお使いの場合ならまだしも、デスクトップPCを自宅のシステムにしている場合など、それを外部に持ち出して録音を行うのは非常に困難で面倒なことです。そういった場合は、iPadにAuriaをインストールし、iPad接続のできるオーディオ・インターフェイスを使えば、モバイル性に優れた録音システムとして使うことができます。
iPadに対応したオーディオ・インターフェイスはいくつかありますが、Auriaのような本格アプリを使うのであれば、音の出入り口にも気を使いたいもの。特に録音においては決定的にオーディオ・インターフェイスの音質が影響しますので、録音をプロフェッショナル・レベルでおこないたい方はRMEのオーディオ・インターフェイスがお勧めです。
RMEでは
Babyface、
Fireface UCX、
Fireface UFXがそれぞれiPadに対応しており(CCモード対応)一番小型でモバイルにも最適なBabyfaceでも、Auriaで96kHzのハイレゾ録音が可能です。(PC上で通常のDAWソフトなどを使用すればもちろん最高192kHzまで利用可能。) 是非、みなさんも一度iPadにRMEオーディオ・インターフェイスをつなげてリハスタに出向き、マイクを使ったハイレゾ録音にチャレンジしてみてはいかがでしょうか? 44.1kHzや48kHzとは別次元の豊かでリアルな録音は、一度体験する価値アリです。
ということで、今日は、2通りの作業方法をAuriaにて検証してみたいとおもいます。
最初は、DAWなどで事前に作成したドラムとベースのオーディオファイルをAuriaにインポート、つまり、読み込みを行い、それに対してギターアンプやドラムといった通常自宅では扱いにくい生楽器楽器をマイクで収録するという流れを検証してみたいと思います。サンプルレートはもちろん96kHz/24bitです。
今回はDAWにPro Tools 10を使っています。書き出しは、96kHz/24bitのステレオファイルで行います。オーディオファイルのフォーマットはAIFFかWAVのどちらかで行ってください。
書き出されたオーディオファイルは、iTunes経由か
Dropbox経由でiPad上のAuriaにインポートします。
まず、iPadをPCに接続します。自動的にiTunesが起動すると思います。(起動してこない場合は手動で立ち上げてください。)
① 接続したiPadのメニュー内で「App」を選択してください。
② 画面の下半分に「ファイル共有」というセクションがありますので、そのリストから「Auria」を選択してください。
③ オーディオをインポートするためには、右下の「追加」ボタンをクリックします。
「追加」ボタンを押すと「開く」ウィンドウが表示されますので、ここからオーディオ・ファイルを指定します。ファイルを選択して「開く」ボタンをクリックすると、iPadに選択したオーディオがコピーされます。
④ ファイルのコピーが完了したら最後に「同期」ボタンをクリックします。
※要らないファイルをiPadから削除したい場合は、iTunesの画面からファイルを選択してキーボードから「delete」を押し、最後に「同期」ボタンを押すだけです。
次に、iPad上のAuriaに先ほどコピーしたオーディオを「Import」(インポート)します。
まずAuriaに新規プロジェクトを作成します。
今回は96KHz(96000)を選択し、トラック数はゼロのままプロジェクトを作成します。
Returnを押すとプロジェクトが作成されます。
次に、新規プロジェクト・ファイルに、オーディオをインポートします。
⑧「Menu」から「Import Audio」を選択してください。
⑨ 画面が切り替わりますので、リストから希望するオーディオを選択します。
「Dest. Track」と書かれた部分は、どのトラックにオーディオをインポートするかを決める部分です。
今回は、トラック0(ゼロ)本で新規プロジェクトを作成しましたので、必然的に、新規トラックを表す「+」が選択されています。既にトラックがある場合は、ここからトラックを指定できます。
最後に「OK」ボタンを押してインポートを終了します。
下記がプロジェクトにオーディオがAuriaにインポートされた状態です。
オーディオ・ファイルがインポートされたら、次にマイクで録音するトラックを作成します。
⑩ 「Menu」から「Add Track」を選択し、表示された「Add Track」ウィンドウにて、トラック数とmono/stereoを指定します。
最後にOKを押すと、プロジェクト上に新規オーディオトラックが作成されます。
⑪ トラックにトラックネームをつけておきましょう。ミキサー表示に切り替え、トラックの一番したの部分をダブルクリック(ダブルタップ)します。
これでプロジェクトの準備は完了です。
次は、使用するRMEオーディオ・インターフェイスをiPadモード、つまり「CCモード」に設定します。CCモードの設定はインターフェイスによって異なります。
詳しくは、下記のページに解りやすい解説ビデオが用意していますので、そちらを参考にしてください。
次に、使用するRMEオーディオ・インターフェイスをApple Camera Connection Kitを使用してiPadに接続します。
⑫ マイクをRMEオーディオ・インターフェイスに接続し、Auria上にて入力チャンネルを設定します。
※コンデンサーマイクを使用する場合は、RMEインターフェイスから48Vファンタム電源を送る必要があります。各インターフェイスの48Vファンタム電源のオン/オフとゲインの調整は下記のビデオの通りです。
Babyface
Fireface UCX
UCXはフロントパネルからファンタム電源のオン/オフができないため、事前にTotalMix上にてSetupを保存しておく必要があります。詳しくはこちらのビデオをご覧ください。
Fireface UFX
これで、インターフェイスのマイクの設定は完了ですので、あとは、Auriaの録音ボタンを押して、録音を開始するだけです!
※ADATケーブルで接続できるマイクプリなどを使えば、一度に8本以上のマイクをつなげての生ドラムの収録も可能ですし、バンドメンバー全員の一斉録音を行う事も可能です。ADAT搭載のマイクプリは様々なメーカーから発売されていますが、例えばRMEの製品ですと下記「OctamicII」などがそれにあたります。
次に、AAFファイルのインポートを試してみたいと思います。まず、DAWソフトウェアから、AAFフォーマットでセッション・ファイルを書き出します。
※Auriaは日本語のファイル名を認識することができません。保存する際に英数半角でファイル名を入力してください。
ここではPro Toolsを使っていますが、Logic、Nuendo、Samplitudeといった多くのDAWソフトがAAFファイルでのセッションの書き出しに対応しています。AAFの書き出しに関して詳しくは、お使いのDAWソフトのサポートにご確認ください。
Auriaでの、AAFファイルを読み込みは、オーディオ・インポートの時と同じく、iTunes経由、もしくはDropbox経由で行うことができます。
今回は誰でも使用することができるiTunesで試してみます。
まず、書き出されたAAFファイルとオーディオファイルを同じ階層に保存し、Zipで圧縮してください。
※この部分は非常に重要です。階層が分かれていたり、フォルダごと圧縮するとAuriaで認識が取れませんので注意してください。
圧縮したZipファイルを、先ほどのオーディオ・ファイルと同じ要領で、iPad上のAuriaに転送します。(手順 ①〜④)
転送が完了すると、Auriaが自動的に、Zipファイルを解凍します。
そうしましたら、「Menu」から「AAF File>Import AAF File」を選択し、リスト画面上にてインポートしたAAFファイルを選択して完了です。
※DAWソフト上でステレオ・トラックだったものは、すべてモノ・ファイルに分割されます。また、オートメーションも読み込めませんし、当然ながらプラグインなども読み込めません。したがって、AAFにて書き出す前に、ある程度セッションを調整してから書き出すことをお勧め致します。
録音を終了したら、最後に、オーディオ・ファイル、またはAAFファイルをAuriaから書き出します。
オーディオ・ファイルの書き出し:
Auriaには、オーディオ・ファイルのインポートという機能はありますが、エクスポート(書き出し)という機能はありませんので、代わりに「Mixdown」という機能を使いオーディオ・ファイルを書き出します。
まず、書き出すファイルに含みたくないトラックをミュート、もしくは、トラックを選択して「Edit」メニューから「Delete Track」を選択します。
そして、ミックスダウンを行います。
ミックスダウンされたファイルは、iPadをPCに接続すると、iTunesの「App」のリストに表示されますので、後はファイルを選択して保存するだけです。
AAFファイルの書き出し:
「Menu」から「AAF File>Export AAF File」を選択。 書き出すAAFファイルに名前を付けて書き出しを実行するだけです。
書き出されたAAFファイルは、iTunesの「App」のリストに表示されますので、後はファイルを選択して保存するだけです。
以上、いかがでしたでしょうか?
iPadで本格レコーディングが可能なAuria。iPadアプリとしては少々高めですが、その価値は十分あるのがお分かりいただけたと思います。
そして、96kHz対応のAuriaのスペックを最大限に引き出すためには、高い音質を誇るRMEのオーディオ・インターフェイスが最良の選択と言えると思います。
皆様も是非、AuriaとRMEのコンビネーションでハイレゾ録音を試してみてはいかがでしょうか?