2012/12/21

RMEとDSD

DSD、何者ぞ

Thunderboltと並んで最近よく聞かれるのが、DSDというキーワード。曰く、なめらかで艶のある音質。曰く、原音に忠実な再生。曰く、PCMより容量が軽い、云々。そして「RMEはDSD対応しないの?」というのが、このごろのよくあるお問い合わせの流れです。ご存じの通りRMEは自分たちが必要性を感じたものは是が非でも実現するメーカーですが、DSD対応製品が存在しないということは、彼らが必要性を感じていないということなのでしょう。では、そもそもDSDって本当のところどうなんでしょうか。

PCMもDSDも入口と出口は1ビット

まず、そもそもDSDっていったい何?という方は、下記のサイトなどをご覧ください。

Direct Stream Digital - Wikipedia
DSDに詳しくなろう!|Venetor Sound

最近よく聞かれるようになった単語なので、DSDというと従来とまったく違う新しい技術だと思われがちですが、実は現在主流のDACやオーディオ・インターフェイスに使われているAD変換、DA変換のチップは、DSDであってもPCMであっても同じデルタシグマ(ΔΣ)型とよばれるものが使用されています。これは、16ビットや24ビットといったマルチビットのデータを直接扱うよりも、1ビットのデータを高速で扱う方が、0と1が基本のデジタルの処理においては設計や製造など何かと楽だからなんですね。なので、RMEを含むPCMのオーディオ・インターフェイスであっても、みんな実は1ビットでΔΣ変換された音を聞いていた訳です。
では、PCMとDSDではどこが違うかというと、下図のようにPCMでは一旦1ビットでΔΣ変換された音を、16ビットや24ビットにまとめて、さらに44.1kHzや96kHzなどにサンプリングレートを間引いてデジタル信号化しています。


一方で、DSDの方はというと、ΔΣ変換された1ビットのデータをそのまま録音し、そのまま再生します。PCMのように途中にフィルタが入らないので、加工の課程が少ない分原音に近い、という理屈なんですね。


では、そもそも入口と出口では同じデータなのに、なぜPCMでは余計な処理を挟んでわざわざ変換するのでしょうか? そのもっとも大きな理由のひとつとしては「編集するため」ということが挙げられます。

1ビットのデータは編集できない

ごく大まかに言えば、ΔΣ変換の原理は、つねに変化する波形の中でその瞬間瞬間の電圧を読み取り、次のサンプルを読み取る時に、1つ前のサンプルのデータと比較して差分(大きい小さい)を取得し、その先のカーブが上昇していくのか水平なのか下降していくのかを判断しながら、1と0に置き換えていくというものです。下図のように、波形が上昇傾向にある位置ではデータに1が多く表れ、下降傾向にある場合は0が多く表れるようになります。この演算をものすごく高速で回していくことで誤差を抑えるようにしています。「1ビット」というように、ひとつひとつのサンプルは1と0しかないのですが、前後の数字の並びで波形を表現するんですね。


ということは、ひとつひとつのサンプルは絵で言うと白か黒で塗りつぶされた2種類の状態しかないということで、ある瞬間の音声データを切り取って変更しようにも、黒を白にまたは白を黒にしか変えらないということになります。そこで、PCMではDSDデータを一定期間で区切って一旦ちゃんとした絵に変えて蓄積していくという作業を、前述のフィルタによって行っています。これによって、一つ一つのサンプルのデータは一枚の絵となり、それを例えば48kHzのサンプルレートであれば1秒間に48,000回めくることでパラパラ漫画のように動いて見せているわけです。そして、それぞれの絵の色合いを変えたり絵そのものを変えたりすることで、動画を好きなように編集できるのです。ちょうどイコライザやエフェクトをかけるのがそれに相当します。
あと、DSDでは前後のデータのつながりがあって初めて意味を持ちますので、好きなところで切ったり貼ったりすると、そこでデータが破綻するという問題も生じます。


このように、編集できないという特性のため、DSDのコンテンツの作成には、一発録音で生演奏をレコーダーで取り込んだり、アナログのマスターをAD変換したり、あるいはPCM音源であるデジタル・マスターをDSDにコンバートするしかありません。DSDを編集するためのソフトも開発されているようですが、結局は裏側でPCM的な変換を行って編集しそれをまたDSDに戻しているに過ぎません。また、ハードウェア面で言うと、DSDはΔΣ変換したままのデータを扱うので、ADに使用されたチップと、DAに使用するチップの違いにより互換性の問題が生じることもあるようです。このような苦労をするのであれば最初からPCMで再生すればいいのでは?と思ってしまうのですが・・・。

USB転送での問題

DSDをPCで再生する際には、もう一つ壁があります。PCからDSDのデータを外部のDACやオーディオ・インターフェイスに転送するための標準規格が用意されていないのです。現在主に使用されているのはSteinbergが2005年に発表したASIO 2.1という規格と、今年になって登場したDoP(DSD Audio over PCM Frames)という規格になります。しかし、ASIO 2.1はMacでは使用できず、DoPについてはその名の通りPCとDACにDSD信号をPCMに見せかけて転送しているため、DAC側はPCMとDSDの両方を受け付けなければならず、例えばDSDで音楽を再生中にOSの警告音(PCM)が鳴ってそれが転送されてくると、DACは一時的にDSDとPCMを切り換えなければならず、音切れが起きる要因となったりします。そんな苦労をするならやっぱりPCMで再生すればいいのでは?と思ってしまうのですが・・・。

・・・ということで、DSDにはなかなか一筋縄ではいかない事情があるようです。とは言うものの、これだけ話題になっているというのは、やはりその音質に皆さん期待をされているのだと思います。ただ、音質を決定づけるのはデータ・フォーマットよりも、クロックの精度やドライバの性能などの要素の方が大きいということは、RMEをお使いの皆さんなら十分実感されているのではないでしょうか。

2012/11/21

RMEとUSB 3.0

USB 3.0とFireface

USB 3.0も普及が進み、特に最新のMacではすべてのUSBポートが3.0となりました。USB 3.0は、PC側のポート(A端子)は2.0と同じ形状なので3.0のケーブルでも2.0のケーブルでもどちらも接続して使用できるのですが、周辺機器側(B端子)は3.0で増えた端子分が雪だるまのように2.0の上に乗っかっているため(下図)、3.0のケーブルは既存のBabyfaceやFirefaceシリーズのUSB-B端子には接続できません。


ただ、USB 3.0自体は上位互換なのと、PC側は形状も互換性があるので、USB 2.0のケーブルを使用すれば、USB 3.0のポートしかない最近のMacでも問題なくRMEのオーディオインターフェイスをご使用いただけます。

USBオーディオとドライバ

・・・と、特に盛り上がることもなく記事が終わるかと思いきや。下の記事のように、なにやら巷ではUSB 2.0仕様のUSB-DACがUSB 3.0のPCで動かない、というケースが結構あるようです。

USBオーディオはUSB3.0で使えない?|zionote@blog

本来であれば、上位互換なのでUSB 2.0の機器が接続されれば、USB 2.0で通信されるはずなのですが、ことUSBオーディオに関しては互換性が高くないそうです。

では、なぜRMEでは問題ないのか。それは、アップデート可能なチップFPGAに独自開発のUSBドライバを実装しているからなのです。これにより今回のように新しい規格が登場したときにも柔軟かつスピーディーに対応できるのです。
USBドライバをOSやチップメーカーに依存している場合は、供給元が対応してくれるまで使えない状態が続いてしまいます。

ドライバ・アップデート

ということで、FirefaceをUSB 3.0のコンピュータでお使いの場合は、まず、ドライバと本体のファームウェアを最新の状態にアップデートしてください。

ドライバ&ファームウェア・ダウンロード

また、Windowsでは一部のチップセットでPC側のUSBドライバのアップデータが出ているようなので、もしUSB 3.0での使用に問題がある場合はこちらも試してみてください。

RMEユーザーフォーラム(英語)
http://www.rme-audio.de/forum/viewtopic.php?id=15186

ドライバとファームウェアのアップデートで末永くお使いいただける、RME製品の生涯コストパフォーマンスの高さがお分かりいただけましたでしょうか。


2012/10/04

RMEとThunderbolt

話題のインターフェイスThunderbolt

最近よくいただくご質問に「RMEはThunderboltには対応しないんですか?」というのがあります。
物理的なポートについては、さすがにファームウェアアップデートでどうにかなるものではないので今後発表される製品に期待することにいたしまして、その前に「そもそもThunderboltって実際のところどうなの?」という点について少々。

(2016.10.18追記) RMEの新しいフラッグシップ、Fireface UFX+にはFirefaceシリーズとして初めてThunderboltおよびUSB3が採用されました。しかし、それはレイテンシーや音質向上のためではなく、MADIの搭載による多チャンネル(96in/96out)を安定して送受信するためのものです。

ご存じの方も多いかと思いますが、Thunderboltの中身(プロトコル)にはPCI Express(PCIe)が採用されています。PCIeはUSBやFireWireよりもレイテンシーが抑えられる、なんていう言説が飛び交っていたりしますが、USB 2.0でもドライバを最適化してやることにより、PCIeと同じレベルまでレイテンシーを抑えることができます。実際に某所に掲載されている比較表にFireface UCXとStudio One 2の組み合わせで計測したものを足し込んだのが下記の表なのですが、USBでもPCIeと遜色ない速度が出ていることが分かります。


PCIeとUSB 2.0の違いは、帯域の広さ、道路に例えると車線の数ということになるのですが、そこがボトルネックになってデータが詰まってしまっているのなら帯域が広がることによりスループットが向上しますが、オーディオ信号は映像などよりもデータ量が少ないので、MADIのような多チャンネルならともかく、実はUSB 2.0(もしくはFireWire)でも十分な帯域があるんです。元々渋滞していない道の車線を増やしたところで車の速度は上がらないのと同じで、Thunderbolt(=PCIe)にすると速度が上がる、というのは誤解なんですね。


ではなぜ「一般的な」USBインターフェイスでは速度が出せないか、というと、ドライバの性能が大きく関わっています。先程の道路の例でいくと、ドライバは接続されたそれぞれのデバイスの出入口に設けられた料金所のようなもので、人力の料金所よりETCの方が流れがスムーズなように、ドライバの性能によってはここがボトルネックになってしまうのです。RMEはUSBにしてもFireWireにしても最高の性能が出せるように、ドライバをつねにブラッシュアップしていますので、レイテンシーを極限にまで抑えつつ安定して動作します。

ということで、Thunderboltにしたからといって速度面で優位になる訳ではないことがお分かりいただけたかと思いますが、そうはいっても、最近のMacにはFireWireやExpress Card Busが搭載されない機種も出てきたり、またDAWのドングルやマウスなどでUSBポートが埋まっていたり、など、Thunderboltが使えた方が良いケースもあるようです。そこで、各種アダプタでThunderboltとRMEのインターフェイスの接続実験をしてみました。

※これはあくまで弊社環境での実験結果であり、弊社およびRMEがすべての環境での動作を保証するものではありません。予めご留意ください。


Thunderbolt to FireWire Adapter

まずは、Apple純正のFireWireアダプタから。筆者は普段FireWireポートのないMacBook Airを使っているので、これでFireWire接続の機器も検証できると便利だな、と期待を込めてつなげてみました。このアダプタは、9ピンのFW800ポートなので、FW400ポートが搭載されているFireface UFXやUCXをつなぐ場合は、写真のような9ピン - 6ピンのケーブルか、変換アダプタを使う必要があります。


先にFireWire用のFirefaceドライバをインストールしておいて、いざ接続。TotalMixが立ち上がってくるまでに、通常のFireWire接続よりも若干時間がかかる傾向があるようですが、認識さえしてしまえば、入出力ともに問題なく使用できました。


MacのシステムプロファイルでもちゃんとFireWireのデバイスとして認識されるようです。USBポートを他のデバイス用に使えるのでこれはこれで便利ですね。


Echo ExpressCard Pro

次は、Sonnet Technologiesから出ているEcho ExpressCard Proという、ExpressCard用のThunderboltアダプタ。これは以前にRMEの人間が実際に使っているのを見ていたのですが、やはり、HDSPe用のドライバを入れることであっさり認識しました。カードにはHDSPe ExpressCardを、アウトボックスにはMultifaceをつなげてみましたが、こちらも入出力とも問題なく使用できました。


MacBook Airで、しかもMountain Lion上で見るHDSP Mixerの画面は感慨深いものがあります。


Echo Express

次もSonnet TechnologiesのEcho Express。こちらは、PCIeのカードを挿せるシャーシで、今回リリースされるHDSPe MADI FXの試験も兼ねてつないでみました。PCIeスロットが2つあるEcho Express Proというのもあるのですが、HDSPe MADI FXは、スロット自体は1つしか使わないので、Echo Expressで大丈夫です。裏側には、ちゃんと拡張ボード分の穴も空いています。


さて接続。今回も認識はあっさり成功。さすがにMADIのチャンネル数になるとPCIeの広い帯域が有効になってくるのですが、Thunderboltのあの小さいポートでMADI(64チャンネル)3系統とAES/EBUとアナログステレオの4チャンネルの計196チャンネルの再生にも躓くことなく動作するのには改めて驚かされました。


Echo Express on BootCamp

ここまで問題なく認識されると、少し欲が出てきまして、BootCampでも使えるのかが試したくなりました。これができれば、現状Windows版しかないDIGICheckのGlobal Recordを使って、MADIの多チャンネル録音ができるんです。

早速、BootCampで起動し直して、HDSPe MADI FXのドライバをインストール、というところで問題発生! Thunderboltのポートをつないでもなにも認識されず、デバイスマネージャーにもなにも表示されない状態となってしまいました。


やっぱりBootCampではダメなのか? と、半ベソをかきながらインターネット上を探し回っていたら、BootCampではPCの起動時にThunderboltのポートを認識しに行くので、接続したままで再起動するとよい、との情報が。祈るような面持ちで再起動してみたところ・・・


今度はあっさりと認識されました! BootCampで試してみようと検討されている方はぜひ覚えておいてください。(2012/10/5更新)逆に、OSが起動している時にThunderboltのポートを抜くとWindowsの動作が極端に重くなる症状が出るようです。BootCampの場合は物理的なPCIカードと同様に起動中に抜き差しするのには対応していないのかも知れません。
認識さえしてしまえば、通常のWindows機と同じように使えます。もちろんGlobal Recordでの録音も可能でした。



結論:結構メリットあるじゃないか、Thunderbolt。ということで、今後も現場での使用など、検証を重ねていきたいと思います。


2012/03/08

UNAMASの新作『そよぎ』がリリースされました



RME導入事例でおなじみ「サラウンドの匠」沢口真生氏(沢口音楽工房代表、UNAMAS-JAZZ Producer/Engineer)の新作「そよぎ」が、高音質音楽配信サイト「HQM STORE」よりリリースされました。

前作の「Everything for drums」は、全編ドラム・ソロ演奏をハイレゾ・サラウンドで収録し、「リスナーがドラマー」の臨場感を体験できるユニークな作品として仕上がり、音響的な見地からも優れた作品として話題を集めた事はご記憶に新しいでしょう。
新作「そよぎ」で沢口氏が臨んだ楽器はリードオルガンです。日本でオルガンと言えば小学校の教室に置かれていた「足踏みオルガン」を思い出す方も大勢いらっしゃるかと思いますが、リードオルガンとはまさにあの足踏みオルガンの事です。本作にはリードオルガンの演奏による「茶摘み」や「さくらさくら」等の唱歌や「七つの子」など、誰もが慣れ親しんだ日本の歌(演奏)が収録されています。
本作を聴いて驚くのはリードオルガンのとても表情豊かな音色です。本作でリードオルガンを演奏された上畑正和氏(作曲家・ピアニスト・リードオルガニスト)は「足踏みオルガンの本当の魅力は、音が消える瞬間と鳴る瞬間にあると考えます。その音を耳を澄ませて聴いていただくの一番気持ちいいのです。」と語っています。素朴な響きの中で儚くも消えては再び浮かび上がるリードオルガンの音色は、聴く者に情景を思い浮かべさせます。音楽の授業で、先生が演奏するリードオルガンの伴奏にあわせて皆と一緒に歌った唱歌を自然と思い出せるのは、リードオルガンの音色が記憶と共に心に刻み込まれているからでは、と思いました。本作を聴きながら強い郷愁にかられ、何とも言えない温かくて心地よいものを感じました。楽曲によっては完成した音楽に沢口氏がサラウンド・スケープを施しており、さらには山崎阿弥氏(声のアーティスト)によるわらべ唄と声で、楽曲にさらなるストーリー性を与えています。
もちろん、本作も録音から配信まで24 bit / 192 kHzのサラウンドで行われており、HQM STOREからサラウンド・フォーマットとステレオ・ミックスのそれぞれが購入可能です。RMEのオーディオ・インターフェイスをお持ちでしたら、ぜひともオリジナルのサラウンド(クアドロ・フォニック/4ch)でお楽しみ頂くことをオススメします。今日はBabyfaceを使ったクアドロ・フォニックの再生方法をご紹介します。
Babyfaceのヘッドフォン出力はステレオ・ライン出力としても使用可能なので、写真のような分配機かケーブルを用意して、メイン出力1/2(フロントLR)ヘッドフォン出力3/4(リアLR)として使用します。私はMacBook Proを使っているので、Max OS Xを例に設定方法をご紹介します。Windowsの設定方法は参照リンクを後述します。なお、サラウンド = マルチ・チャンネルを楽しむにはマルチ・チャンネル再生に対応したプレイヤー・ソフトウェアが必要です。Macの場合は無償で使えるVLCが便利です。
【Mac OS X 設定】
1 : AudioMidi設定(アプリケーション > ユーティリティー)を起動
2 : Babyfaceを選択 > 出力のタブを選択 > 画面右下の「スピーカーを構成...」をクリック
3 : 画面上部のチェックボックス「Analog 1 - 4には...」にチェックを入れる
4 : 「マルチチャンネル」を選択 > プルダウンメニューから「4チャンネル」を選択
5 : スピーカーの割当を上段左Analog 1、上段右Analog 2、下段左Phones 3、下段右Phone 4に設定
6 : 「適用」 > 「完了」の順番でクリックをして、AudioMidi設定を終了
以上の設定でMac OS X内でマルチ・チャンネルの再生が可能になり、Babyfaceのブレイク・アウト・ケーブルのメイン出力1/2 = フロントのL/R、Babyfaceのフォーン出力3/4がリアのL/Rに割当たりました。続いてTotalMix FXの設定を行います。
【TotalMix FX 設定】
1 : TotalMix FXを起動
2 : 画面右側View Optionsの「Submix」にチェックを入れる(画像1)
3 : 画面右下Control Roomの「Assign」をクリックして、Main Outに「PH 3/4」を選択(画像2,3)


4 : 下段(三段目)のAN 1/2をクリック(選択されるとハイライト表示)し、フェーダーを適当な位置まで上げる。続いて中段(二段目)のAN 1/2のフェーダーを0 dBの位置まで上げる。(画像4)
5 : 下段(三段目)のPH 3/4をクリック(選択されるとハイライト表示)し、フェーダーを適当な位置まで上げる。続いて中段(二段目)のPH 3/4のフェーダーを0 dBの位置まで上げる。(画像5)
以上でチャンネルのルーティングが完了しました。音楽を聴きながら下段のAN 1/2とPH 3/4のフェーダーを使って、好みのボリュームに調整してください。(メイン出力をXLRのバランスで出力した場合、アンバランス仕様のヘッドフォン出力とは2 dBの音量差が生じます。フロント/リアのボリュームを厳密にあわせる場合はメイン出力1/2のボリューム・フェーダーを「-2.0 dB」に設定して下さい。)
このように、Babyfaceでもサラウンドを楽しむことができます。サラウンドを楽しめる環境をお持ちのかたは、ぜひお試し下さい。
Windowsで試される方は、こちらのリンク先にある「コンピュータのスピーカー構成をサラウンドに設定 - Windowsの場合」をご覧頂き、Windowsの設定を行って下さい。TotalMix FXの設定はMac OS XもWindowsも同様なので、Windowsの設定が済んだ後は本ブログの設定をご参照下さい。

本作のブックレットに寄稿された、日本リードオルガン協会顧問の赤井励氏のテキストによると、残念ながらリードオルガンの国内製造は中止になっており、現在は博物館等でしか見れない貴重な楽器になってしまったそうです。
夜気も柔らかくなり気持ちがはなやむ春の夜に、耳を澄ませて素朴だけど心が豊かになるリードオルガンの響きに浸ってみてはいかがでしょうか。

2012/02/29

「アクティブ・スピーカーとBabyface − コンパクトでシンプルなPCオーディオ」

高音質の音楽を配信するe-onkyo musicから、Jazz/Funk/R&Bをベースとしたポップスを聴かせるユニットJiLL-Decoy associationの新作「Lovely e.p.」のDirect Mixバージョン3曲が、DSD 1bit/2.8MHzとPCM 24 bit / 96kHzのフォーマットで独占リリースされました。スタジオ・ライブ録音ならではの空気感や息づかいを、色付けの一切ない高解像度/高音質で再現することをコンセプトに録音されています。
e-onkyo musicウェブサイト:http://music.e-onkyo.com/artist/m120208_S.asp
「JiLL-Decoy association ハイレゾ配信(「Lovely e.p.」の試聴音源あり)」
「ビギナーのためのHDサウンドの楽しみ方」

上記のページではこの作品を楽しむための「コンパクト」なPCオーディオ・セットアップ例として「RME Babyface」が紹介されています。コンパクトなPCオーディア・セットアップ例とは、Babyfaceをプリアンプではなく、直接アクティブ・スピーカー(パワード・スピーカー)に接続する方法です。BabyfaceはコンパクトでUSBバスパワーで動作し、操作性の優れたボリューム・ノブを搭載しますので、Babyfaceの特長を活かしたひとつのシンプルなセットアップ例と言えます。
アクティブ・スピーカーは、通常のスピーカーと違い、スピーカーの中にアンプと電源が内蔵されているので、プリアンプを必要としないシンプルで柔軟なシステムが組めるのが特長です。レコーディング・スタジオやホーム・スタジオ、またライブ会場のPAの現場等で広く使われていますが、最近ではコンピューターに直接接続して音楽やビデオを楽しむマルチメディア・スピーカーとしても普及し始めています。

以下は各社のアクティブ・スピーカーの一例です:
アクティブ・スピーカーとBabyfaceを接続する場合は、Babyfaceのメイン出力からスピーカーに直接ケーブルで接続します。Babyface本体のボリューム・ノブを使用すれば、メイン・ボリュームを調整したり、ボリューム・ノブの「ディム」機能を使ってボリュームを瞬時に下げたり、出力をヘッドフォンやスピーカーと切替えたりと、非常に便利に使用できます。

また、Babyfaceの背面にはオプティカル入力端子がありますので、CDプレイヤー等のオプティカルSPDIF出力を搭載する機器をオプティカル・ケーブルで直接接続することもできます。

さらに、Babyfaceのヘッドフォン出力はライン出力としても利用できるため、必要なケーブルを用意すれば、4本のスピーカーを使った4チャンネル・サラウンド・システムも可能です。BabyfaceTotalMixミキサーを使えば、5.1チャンネルの音源を4チャンネルに変換しての再生も簡単に行えます。

ご参考までに、過去に5.1ch > 4ch ダウン・ミックスの方法をご紹介した記事をどうぞ。

このように信頼性のある確かな音質を、シンプルで自由度の高いセットアップで実現できるのもBabyfaceの大きな魅力の一つです。

2012/02/21

TotalMix FX on iPad 設定編

今回は前回ご紹介したOSCでコントロールするための設定をご紹介します。
iPadで使えるOSC対応Appは多数リリースされていますが、ここではTouchOSC(App Storeで450円で販売中)を例にご紹介します。
TouchOSCはコンピューター上のエディターでオブジェクトを自由に配置して、それぞれのオブジェクトにOSCのコントロール情報を割り当てて、オリジナルのテンプレートを作成する事が可能です。TotalMix FX 0.970 Beta3をRMEのフォーラムからダウンロードすると、ZIPフォルダ内に一緒にTouchOSCのToalMix FXテンプレート(名称:TotalmixPad1)が含まれておりますので、今回はこのテンプレートをそのまま使う事にします。

1:iPadとコンピューターを同一のWi-Fiネットワーク下に設定。
2:TouchOSCを起動し、コンピューターとiPadの接続を確立させる。
3:コンピューター上でTouchOSC Editorを起動し、“TotalmixPad1”を開く。
4:TouchOSCのLayoutからAddを選択し、“TotalmixPad1”を追加(コンピュータとiPadを同期させてダウンロード)する。
5:TotalMix FX 0.970 Beta3を起動。
6:Optionsメニュー > Enable OSC Controlにチェックを入れOSC機能を有効にする。
7:Optionsメニュー > Settings...を開く(またはキーボードのF3キー)。
8:OSCのタブを開き、Found Remote Servicesの枠内にTouchOSCが起動したiPadの名前が見えているかを確認し、iPadの名前をクリックして選択したらOKボタンで画面を閉じます。その他のポートの番号などはデフォルトのままでOKです。以上で設定は完了です。
(※上記のTouchOSCの操作方法が不明な際は、TouchOSCのマニュアルをご確認下さい)

Settings画面
TotalmixPad1テンプレートでは、TotalMix FX内のすべての機能をコントロールできるようにデザインされています。

ミキサー画面
ミキサー画面では「ハードウェア入力」「ソフトウェア再生」「ハードウェア出力」のそれぞれを独立させてコントロールが可能です。ソロ、ミュート、パンニング、一時的なフェーダー・グループの作成も可能で、画面右側には「コントロール・ルーム」の操作パネルも備えています。

チャンネル・ストリップ画面
チャンネル・ストリップ画面では各チャンネルの機能を詳細にコントロールが可能です。ファンタム電源のON/OFF、マイクのゲイン、EQとダイナミクスなどを個別にコントロールする事ができます。

リバーブ/エコー/コントロール
リバーブ/エコー/コントロール画面ではリバーブとエコーの空間系FX、スナップショットの選択、ミュート、ソロ、フェーダー・グループの作成が可能です。

さらにはTotalMix FX上の情報(チャンネル・ネーム、ボリュームの値など)もリアルタイムに相互通信が可能なので、iPadの画面だけを見てても正確な値を把握する事ができます。
この画期的な機能を使えば、コンピュータと離れた場所でもTotalMix FXの調整が可能になるので、例えばレコーディング・ブース内からもマイクのゲイン設定を変更する事が可能です。しかもWi-Fi接続なのでケーブルを這わせる必要もありません。
今回使用したテンプレート「TotalmixPad1」は8チャンネル仕様でレイアウトが施されておりますが、このテンプレートを元にTouchOSC Editorで好みのレイアウトにカスタマイズを施したりと自由にお楽しみ下さい。


【ご注意!!】
TotalMix FX 0.970 Beta3は正式リリース前のベータ・テスト版です。この記事を元にお使い頂く際は自己責任でお願い致します。また、弊社ではTotalMix FX 0.970 Beta3およびTouchOSCに関するサポートは一切行いません。また使用中の不都合に関しても責任を負いませんので、予めご了承のうえでお試し下さい。

2012/02/09

TotalMix FX on iPad

現在、RMEフォーラムにて公開中のTotalMix FX 0.970 Beta3では、(個人的に)待望の「OSC」に対応しました。
OSCとは・・・「OpenSound Control(OSC)とは、電子楽器(特にシンセサイザー)やコンピュータなどの機器において音楽演奏データをネットワーク経由でリアルタイムに共有するための通信プロトコルである。カリフォルニア大学バークレー校にある CNMAT(The Center for New Music and Audio Technologies)が開発した。」(wikipediaより)
OSCがどんな物かと申しますとMIDIの代替となる新しい規格で、楽器やコントローラー等のマルチメディア・デバイスが共通のネットワークを経由しての通信が可能です。従って、イーサネット・ハブを経由しての複数台同時通信なども可能、ブロードバンドを使用するので通信は高速かつ大容量、従来のMIDIよりもリアルタイム性が高い利用が可能です。
私は以前からOSCの利便性に惹かれて愛用しており、iPhoneにインストールしたOSC対応AppでDAW等の音楽ソフトウェアをコントロールして使っておりました。
ここまでで既にお察しかと思いますが、OSCに対応した事でTotalMix FXをiPhone/iPad(その他OSC対応機器)からコントロールすることができます。それも全てのパラメーターがコントロール可能です。
TotalMix FXは、強力なハードウェア・ミキシング / ルーティング機能を備えたデジタル・ミキサーであり、現存するデジタル・コンソールをも凌ぐ性能を持っています。実際に30 IN / 30 OUTもの膨大なチャンネル数を誇るFireface UFXは、国内外でライブや演劇の現場でデジタル・ミキサーとして運用されています。
OSCに対応した事で、iPadで離れた場所からのリモート・コントロール、ミキシング等が行えるので身軽に様々なシーンで便利にお使い頂けます。RMEのオーディオ・インターフェイスを使用したUstream配信時のコントローラーとしても最高ではないでしょうか。
近日中にテストしたレポートと、簡単な導入方法と使い方をこのブログでアップします。どうぞお楽しみに!!
【ご注意!!】
TotalMix FX 0.970 Beta3は正式リリース前のベータ・テスト版です。お使い頂く際は自己責任においてお願い致します。弊社では一切のサポートを行いません。また使用中の不都合に関しても責任を負いません。